医療系開業

歯科医院の分院長になるには?どんな仕事?歯科分院長になる際のポイント

歯科医師になるとさまざまな働き方があります。

その中でも、分院長になることを検討されている方もいらっしゃるかもしれません。

大手の分院展開をされている歯科医療法人では、分院を任せていることが多く、分院長の先生として活躍する方法もあります。

そこで、求人情報の中でよく目にする「歯科クリニックでの院長募集!」「施設管理者にご就任頂きます」という文言。いわゆる『雇われ院長』の求人についてご紹介したいと思います。

歯科医師としての分院長としての働き方

歯科医師としての分院長としての働き方についてご紹介したいと思います。

歯科医師としての長年キャリアを積んだ先にある進路として、以下の選択肢があります。

  • 開業するのか
  • 勤務医として仕事を続けるか

基本的にはこちらの2つを頭に思い浮かべる方が多いです。

ただ、今は実は、「分院長として仕事をする」という選択肢があります。

いったいどんな仕事内容で、どのようなスキルを求められる職種なのでしょうか。

歯科医師の分院長とは?開業医の院長との違いは?

まずは、そもそも分院長とはどのような職種なのかご紹介します。

「院長」と言っても、「開業して自らが院長になる」ことと、ある歯科医院の「分院の院長(分院長)」として勤めるのとでは違います。

開業医とは

自ら独立し、経営者として法人、歯科医院を経営する人のことを指します。

この場合、経営計画を立てる必要がありますので、独立資金を自ら用意し、開業する必要があります。

当然、開業医は必要な資金は自分で集め、必要であればローンを組んだりします。

分院長とは

分院長とは、ある医院を開業した院長が、分院クリニックを展開する際に、その分院クリニックの院長となる人のことを指します。

開業医と違い「分院を展開するにあたって必要な資金を払う」ということや、「ローンの連帯保証人にさせられてしまう」ということはありません。

ローンを組んだり、自ら開業費用を支払う必要がないのです。

分院長職は、勤務医と同じく決められた時間通りに働き、契約した給料を受け取れる安定した役職です。

したがって、院長経験が積めるわりに、経営者ほど経営の悩みに左右されずに働ける利点があります。

また、分院長は施設管理者であるという点において責任がありますので、院長手当が付くのが一般的で、勤務医と比較して高い給与が望めるようです。

分院長が求められる理由

分院長が歯科において求められている理由を御存知でしょうか。

皆さまもご存じかとは思いますが、診療所開設には開設者・管理者が必須です。

開設者は法人がなることが可能ですが、管理者は臨床研修等修了医師でなければなりません。

診療所の管理者は、医療の安全管理のための体制を確保する義務 や医師その他の従業者を監督する義務を負うなど、適正な医療が提供できるように診療所を管理する義務を負います。

  • 医療法第10条
    また、管理者は複数医院で管理者となることは出来ません。

実は医療法では、このように決まっているのです。

つまり医院を分院展開する際には必ず、管理者となる分院長が必要になります。

法律上誰を院長とするかの規定はありませんが、社会通念上、診療所の医院長を名乗る方は管理者を示す場合が多いようです。

歯科医師の分院長の仕事と求められるスキル

続いては、分院長を務めるにあたっての仕事内容と、どのようなスキルや経験が求められるのかをご紹介していきます。

歯科医院を経営していくーマネジメント能力

分院長は実際に法人を経営するわけではありませんが、歯科医院という施設の院長として現場をマネジメントしなければなりません。

特に新しく開業する分院の院長を務めるとなると、マネジメント能力が求められると言えるでしょう。

既存の分院の院長も前任の院長と比較されたり、本院の意向に沿ったマネジメントをする必要があります。

このため、ある程度、マネジメントのノウハウを学んでおく必要があります。

信頼できる人間関係を構築していくーコミュニケーション能力

分院長になるということは、お互いが知らないスタッフと働くことになります。

スタッフとの強い信頼関係を築き、トラブルがあっても壊れない組織を作るためには、一定のコミュニケーション能力が求められます。

また、本院との関係性も重要になってきます。

スタッフの教育能力

医院内で分業して複数のユニットをつくる場合は、それぞれが主体性を持って独立したプロとして働かなくてはなりません。

教育に力を注がなかったり、補助業務ばかりなら、優秀な衛生士が集まりにくく、いざというときに、退職してしまったりすることになります。

分院長になる際の注意点

分院長の話を受ける際や、これから分院長になることを検討している方は注意点やポイントがありますので、是非参考にしてみてください。

自身のキャリア形成について伝えておく

分院長の話を受ける際、自身のキャリア形成が明確であればきちんと伝えましょう。

例えば、3年間は分院長を務めるが、4年目以降は自分で開業をする意思があることなどを伝えておくことが必要です。

そして、本院の意向もあり、開業前提だったり、「院長候補」というケースでの採用もあります。

そうすれば、法人側も引継ぎの歯科医師の採用活動を計画的に行うことが可能なので、後々トラブルにならない様にしっかりと伝えておきましょう。

分院長の諸条件について確かめる

元々法人に勤務していて、新たな分院を出す際に分院長に就任される方は特に確認して進めましょう。

基本給やインセンティブに変化があるのか?ということだったり、分院長の権限でどこまでのことを管理し、運営決済権があるのか。ご自身が分院長としてどの様な待遇となるのかをきちんと確認しましょう。

分院長として、経営により近いところでキャリアを積みたいと考えていても、来院患者数や月売上の目標設定ばかり求められることがあります。

このため、どこまで治療について裁量を持たせて頂けるかは予め確認が必要でしょう。

スキルを磨くこと

分院では、高い人間性が求められるのはもちろんですが、その治療技術も求められます。

正確さとスピード、状況に応じた臨機応変さが必要ですから、これまでのどの様な環境で研鑽を積んでこられたのか、その中でどのような技術を取得されてこられたかが大事になります。

分院長のやりがいと苦労

分院長を務めることは、長い人生の中でも大きな責任をもって働くターニングポイントとなることでしょう。

では、実際に分院長を務めることのやりがいや、苦労はどういったところにあるのでしょうか。

分院長のやりがい

分院長の一番大きなやりがいの一つは、日々の業務に加えて経営に携わることができることです。

分院長は勤務医としてだけでなく、施設の責任者として経営業務にも携わることになります。

経営が安定し、好調に利益を伸ばしていければ、やりがいと達成感を感じられると思います。

また、開業を考えている歯科医師の方であれば開業への自信が湧いてくることでしょう。

分院長の苦労

大きなやりがいの一方で、数字を本院の経営者から逐一チェックされる、スタッフのモチベーションが上がらないなど、経営面で別の悩み事が発生します。

分院とはいえど、経営者である以上、オールマイティーさ、器用さが求められます。

自分のことは一度忘れて、常に医院のことを考えて行動しなければならないことは苦労の一つと言えるでしょう。

また、勤務医よりは高い給与が望めるものの、経営者ほどは当然収入があがりません。

また、自身のキャリアプランを考えたときに、不安を感じてしまうかもしれません。

本院の診療方針などについての関わり方も重要です。

本院との診療方針の統一が必要

複数のクリニックを展開するうえで、ブランディングの観点、ガバナンスの観点で本院と分院の医療の質を統一することは不可欠です。

診療方針もすべてのクリニックで徹底・統一したいと考えるのは当然のことでしょう。

分院長として自分の好きなように分院の文化を創生していくことは簡単ですが、法人のブランディング、長期的な法人の繁栄を考えると、やはり本院の文化を積極的に受け入れることが重要なのです。

まとめ

分院長は、開業して院長になるよりも、リスクの心配もなく安定した役職です。

しかし、求められる能力は多岐にわたり、治療技術だけでは成功できません。

分院とはいえ、院長という立場である以上は勤務医としてだけではなく、現場を取り仕切る重要な役目があるということです。

分院長候補のための教育制度や、分院長から開業医を目指せるサポートのある歯科医院もあります。

ご自身のキャリア形成の上でも重要な時期となりますので、起こる全てを自分事ととらえ、自身のご開業前のいい経験をされることがよろしいのではないでしょうか。